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新宿伊勢丹で思ったこと

 今日の朝日新聞の「経済気象台」というコラムで、デパートについての記述があった。

 「その結果、デパートというビジネスモデルは、富裕層、一般消費者層双方の思いから少しずつずれていく。」の一文が印象に残った。

 というのも半月前、デパートの中では善戦しているという伊勢丹新宿店を訪ねる機会があり、まさにその時感じたとおりだったからだ。

 もともと私はデパートなど年に一度も行くことはない。かれこれ1年以上前に「『伊勢丹のようなサービス』ができる本」という本を読んで、マーケティングの実地見学のつもりで行きたいと思っていたのだが、なかなか行く機会がなかった。

 伊勢丹はサービスが優れているとのことだが、そもそも買う気のない人間にとってはサービスも何もあったものではない。

 訪ねた時はひとりでどかどかと地下から最上階まで歩いた。女性を対象とした品が多かったこともあり、高級で自分には縁がないものばかりだなという印象を持った。

 メンズ館にも行ってみた。多くのデパートが女性をもっぱらターゲットとしているのに対し、伊勢丹は男性向けに丸々ひとつ別館を建てたということで話題になったところだ。

 カメラが置かれていたのでちょっと見てみたが、ライカが一番目立つ所に置かれていた。デジカメがしのぎを削って安売りしている時代に、だ。ライカはもちろん言うまでもなく伝統も味もあるカメラだが、ライカの良さを分かって買おうと思う人はかなりの少数派だろう。これを買いたいと思う人は、実用性をあまり鑑みない、よほどのカメラマニアか、あるいはファッションで持とうとしている人ではないかと思う。

 また、マウンテンバイクも置かれていたので見てみた。私が見た限りでは、置いてあったのは自転車だけで、ヘルメットや手袋などの備品についてはほとんど置かれていなかった。本当に自転車を売る気があるのか疑ってしまった。単なる見せ場の雰囲気づくりなのではなかろうか。

 以上はあくまでも私個人が見た限りでの私個人の感想である。

 私とは全然違い、伊勢丹の徹底した社員教育のたまものである行き届いたサービス精神にほれ込んでいる人も多くいることは知っている。

 ただ、コンビニやファーストフード店など、没コミュニケーションな場で購買活動を済ませている人間にとっては、配慮の行き届いたサービスなど最初から望んでいない。それ(サービス)がついて高い物を買うよりも、それが無くて安くてそこそこの物を買って済ませてしまいたい。極端な話、サービスが邪魔とさえ思える。

 ひょっとすると、精神の貧弱な者のゴマメの歯ぎしりなのかもしれないが。

 ただ、不況が長引いている今の時代、より安い中でより高い品質を求める声は強まっているように思う。高い品を並べ、行き届いたサービスを行う伊勢丹がどこまで生き残っていくのか、あるいは伊勢丹ほどのサービスを提供できていない(らしい)他のデパートがどこまで生き残っていくのか、見ものだ。

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