昨日久しぶりに本屋に行けてうれしかった。
金融危機のあおりか、経営コーナーには本があふれていた。
伊丹敬之氏の本が目に入ったのですぐに買った。
「日本の経営を創る」という本で、三枝匡氏との対談集だ。
伊丹氏が学者なのに対し、三枝氏はいくつもの企業再生を手がけた実践家である。
ふたりには共鳴しあう部分が多くあるらしく、読んでいて心地いいリズムを感じられた。
ふたりに共通するのは、「経営」の基礎を「ヒト」に置いている点だ。
アメリカ流の経営が組織体を1つのモノとして考えているのに対し、伊丹氏・三枝氏に関しては、その構成要素であるヒトに着目している点が面白い。
書名が「日本の経営を創る」とあるのに、冒頭にアメリカ流の経営手法を弱みを挙げている。おそらく合わせ鏡としてどうしても必要なのだろう。
本の中では複数のページにまたがっているので、ちょっとここで列挙してみたい。
<アメリカ流の経営手法の弱み>
1.安易な多角化
2.高すぎる配当性向
3.短期リターン志向
4.組織の非継続性
5.品質よりも目先の利益追求
6.ものつくりの弱さ
7.インスタント成金趣味
8.社員の低コミットメント
9.所得配分の過度の偏り
以上9点である。
ここから伊丹氏・三枝氏のそれぞれの体験と持論が展開されていくわけだが、個人的な解釈としては、結局のところ「ヒト(社員)がやる気になんなきゃなんの意味もない」ということに話が落ち着いていっているように思う。
診断士の勉強でも少しずつリソース・ベースト・ビュー(経営資源を起点にした経営の考え方)という言葉をちらほら聞くようになったが、もっとはっきりとヒトへの理解を深めるべきだろう。
もう少し言えば、ヒトがどんなことをされれば喜び、悲しみ、組織への一体感を感じ、また他人を妬むのか、といったことを学んだ方がいいように思う。
戦略論だのマーケティングだのといったノウハウに関しては、「ヒトはどうしたら動くのか」が分かった後で考えるべきもののように思う。
へたなポートフォリオを一所懸命に記憶することよりも、1時間のヒューマンウオッチングの方が、本当の意味での経営学に近いような気がしてきた。
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